「超広角レンズでオススメない?軽くて安くて写りがそこそこいいやつ」
もし友人に聞かれたらTAMRON 17-28mm F2.8 Di III RXDをオススメします。
このレンズは17mmから28mmまでF2.8通しにも関わらず、軽くて写りも良く、純正レンズの半額以下で購入することができるからです。
本記事では筆者が2年以上使い込んできた体験をもとにTAMRON 17-28mm F2.8 Di III RXD(以下タムロン17-28)をレビューしていきます。
なお、本レンズに向いているユーザーは以下の通りです。
該当する方は最後まで記事をご覧いただけると参考になるでしょう。
向ている人 | 向いていない人 |
---|---|
携行性を重視している 星を撮りたい あまりレンズに予算をかけられない | 解像度至上主義 高いビルドクオリティを求めている |
スペック
まずはレンズのカタログスペックを紹介し、次にデザインについて触れていきます。
競合レンズとも比較していきますが、「細かいスペックは既に知っている」という人は読み飛ばしてOKです。
競合レンズと比較
レンズスペックは以下表の通り。
モデル名 | Tamron17-28F2.8 | シグマ16-28mmF2.8 DG DN | SELP1635G | SEL1635GM |
---|---|---|---|---|
焦点距離 | 17-28mm | 16-28mm | 16-35mm | 16-35mm |
明るさ | F2.8 | F2.8 | F4 | F2.8 |
最短撮影距離 | 0.19m (WIDE) / 0.26m (TELE) | 0.25m | 0.28m | 0.28m |
最大撮影倍率 | 0.19倍(WIDE)/0.16倍(TELE) | 0.17倍 | 0.23倍(TELE) | 0.19倍 |
フィルター径 | 67mm | 72mm | 72mm | 82mm |
最大径 | 73mm | 102.6mm | 80.5mm | 88.5mm |
長さ* | 99mm | 102.6mm | 88.1mm | 121.6mm |
質量 | 420g | 450g | 353g | 680g |
絞り羽根 | 9枚 | 9枚 | 7枚 | 11枚 |
価格 | 約85,000円 | 約100,000円 | 約152,000円 | 約260,000円 |
中古価格 | 約71,000円 | 約96,000円 | 約140,000円 | 約182,000円 |
競合レンズにはF2.8通しでズームレンジが近いシグマ16-28mmF2.8 DG DNとSony純正のSEL1635GMを挙げました。
またF4通しではありますが、タムロン17-28と迷われる方の多いSELP1635Gも比較レンズとして挙げています。
上記表のスペックで比較するとタムロン17-28の強みは以下の通り。
- 価格はタムロンが最も安い(GMの半額以下)。
- 最短撮影距離はタムロンが最も短い。
- 重量においてはSELP1635Gが最も軽い。次点でタムロンが軽い。
安さを求めるならタムロンが筆頭候補になりますが、携行性や接写性能はGM以外どれも大きな差はないと感じます。
一方で価格を考慮しなければ、明るさを求めるならシグマ、利便性を優先するならSELP1635Gが候補に挙がるでしょう(SEL1635GMは価格と重さを度外視できるならベスト)。
それぞれレンズ別に評価をまとめると以下の通りです。
モデル名 | タムロン17-28F2.8 | シグマ16-28F2.8 | SELP1635G | SEL1635GM |
---|---|---|---|---|
明るさ | ◎ | ◎ | 〇 | ◎ |
ズームレンジ | △ | 〇 | ◎ | ◎ |
接写性能 | 〇 | △ | ◎ | 〇 |
ハンドリング | 〇 | 〇 | ◎ | △ |
ビルドクオリティ | 〇 | 〇 | ◎ | ◎ |
価格 | ◎ | 〇 | △ | × |
総合すると、安さ・明るさ求めるならタムロン一択となります。
外観
外観はプラスチック鏡筒でボタン類は一切ないシンプルな造りです。
レンズフード装着時の外観は以下の通り。
ケラれないようにするためか、フードは浅めです。
マットなブラック塗装
鏡筒はプラスチックで造られており、マットな質感が特徴です。
2021年秋以降、タムロンのレンズは艶塗装が採用されていますが、光沢のないブラック艶消し塗装となっています。
特に安っぽさは感じられません。
軽量コンパクトが売りのレンズですが、手に持ってみると「本当にズームレンズか?」と疑いたくなるほど軽くて収まりが良いです。
500mlペットボトルより軽い!
カメラに装着したときのバランス感もGood。
また、インナーズームを採用しているため鏡筒が伸縮しません。
「ジンバルで有効なだけでしょ?動画は撮らないからインナーズームはあまり関係ないかな」
と感じる人がいるかもしれませんが、スチルでも役立つシーンはあります。
例えば展望台から夜景を撮影するとき。
撮影時はレンズ先端を窓ガラスに近づけるのですが、ズーム時に鏡筒が伸びると、そのたびに三脚の位置を調整する必要があります。
その点、インナーズームは三脚位置を調整する煩わしさがありません。
フィルター径は67mm
多くのタムロンレンズと同じフィルター径のため、NDフィルターやCPLフィルターを使いまわすことができます。
タムロンでレンズを揃えていくならフィルター径67mmは大きなメリット。
筆者はタムロン28-200とタムロン17-28を一緒に持ち歩くことが多いのですが、フィルターを複数持ち歩かなくて済むので助かっています。
タムロンでレンズを揃え始めるとフィルター径を気にするようになるね
作例
カタログスペックでは説明できない解像感や色味については作例を見るのが早い…ということでここからは筆者が2年以上に及んで使用してきたタムロン17-28の作例をご覧ください。
なお、ブログが重くならないように写真は画素を大幅に圧縮しています。
以上、作例でした。
超広角レンズの部類では安いレンズになりますが、解像力は申し分ないと感じています。
またF2.8の強みを生かして、暗い室内や夜のスナップ、天の川撮影も十分可能です。
メリット・デメリット
ここからは本レンズのメリット・デメリットについて紹介します。
メリット
メリットは以下の4点です。
星景撮影ができる
超広角レンズを選ぶ上で判断基準になるポイントが”星を撮るか撮らないか”です。
というのも星撮影に最適な明るさはF2.8以下が望ましいと言われているからです。
もちろん、星撮影をメインに考えた場合は、SEL14F18GMやSEL20F18Gなど星に特化したレンズを検討したほうが良いでしょうが、作例でお見せした星景写真レベルであればタムロン17-28で撮影可能です。
普段は風景やスナップがメインだけど、ゆくゆくは星も撮りたい。
そう考えている方にはタムロン17-28は購入対象に挙がるでしょう。
星撮影以外に、暗い建物の内観や手持ちで夜景を撮るときにもF2.8が大活躍するよ!
広角端で寄れる
筆者は超広角レンズで物撮りをすることはないため、望遠端よりも広角端の接写性能を重視しています。
この点、広角端で0.19mまで寄れるのはタムロンの強みです。
そして広角の接写性における強みは被写体のパースを活かした表現ができることにあります。
例えば以下の写真は広角で寄ることができたからこそ、表現ができた1枚です。
ヒマワリに接写することで、下半分を1輪のヒマワリで埋めて、上半分をヒマワリ畑と太陽で構図に収めることができました。
もし広角で寄ることができなければ、これほどヒマワリを大きく表現することはできなかったでしょう。
寄れる超広角レンズは多いですが、広角で寄れるタムロンだからこそ撮れた写真だと思います。
軽量コンパクト
最近は他社も軽量コンパクトな超広角レンズを出してきているので、発売当時ほど強みには感じませんが、それでもタムロン17-28は軽いレンズです。
いくらスペックが良くても携行性が悪ければ、持ち出す意欲が低下します。
筆者は「レンズは使ってなんぼ」と考えているため、レンズは何時でもカメラバッグに入れておきたいものです。
この点、タムロン17-28は持ち歩きが苦にならないので、「とりあえず持っておくか」くらいの気持ちで使えます。
余談ですが、荷物の重さが気になる旅行ではタムロン28-200と合わせて使うことが多いです。
2本で17-200mmをカバーし、フィルターも67㎜で共通、その上で総重量が1kg以下のため便利極まりないです。
価格が安い
超広角レンズは標準や望遠に比べると扱いが難しく、活躍のシーンが少ないレンズです。
というのも画角が広がれば構図を整理する力がより問われるからです。
ですから、使用頻度の低いレンズにそう易々と予算を割くのは難しいところ。
一方、タムロン17-28であれば7~8万で入手可能であるため、超広角ズームレンズの中では安価のため、一番手が出しやすいと思います。
安いとはいえ表現力は作例でお見せした通り、実力は十分。
発売から3年近く経ち、中古価格も底を打ってきたので、今後価格が崩れる心配も少ないので、合わなければ売ってしまうのも手です。
デメリット
筆者が感じるデメリットは1点のみ。
また、デメリットには挙げませんが、光学性能を追求しているレンズではないです。(携行性やコスパを重視)。
ゆえにGMレンズに比べると解像力や色表現には見劣りするところはありますが、価格差を考量すれば致し方ないため、デメリットとしては挙げません。
広角端が17mm
タムロン17-28は他社の超広角ズームレンズに比べてズームレンジが狭いです。
Eマウントの超広角ズームレンズは広角端が16mm、望遠端では35mmを採用していますが、タムロン17-28は中途半端なズームレンジになっています。
17mmはちょっと狭いし、28mmは少し短く感じるかも
筆者は…とえいば、標準ズームレンズを補完する形でタムロン17-28を使用するケースが多く、28mm以降は素直にレンズ交換するのでそこまで不満は感じません。
広角端については「もう少し広ければな…」と思うシーンは何回かあります。
実際17mmと16mmで撮れる写真は変わるのか、といえば変わらないでしょう。
ですが1mmの差は撮影体験として満足度は大きく違います。
シグマが16mmスタートの小型F2.8レンズを発売している現在において17mmスタートは弱いかなと思います。
とはいえ16mmスタートの場合、フィルター径も変わってくるだろうし、他のタムロンレンズとの親和性を考慮すると、17mmスタートが限界なのかもしれません。
それにシグマとの価格差は約3万円…。
1mmに3万円を感じるかどうかですね。
タムロンさん!16mmスタートのG2レンズ期待していますのでよろしくお願いします!
まとめ
以上、タムロン17-28のメリット・デメリットを挙げながらレビューしてきました。
改めてまとめると、以下の通りです。
オススメな人 | オススメしない人 |
---|---|
価格と明るさを重視している 他のタムロンレンズを持っている | 予算があればシグマ16-28F2.8が良い F2.8にこだわりが無ければSELP1635Gが良い |
筆者の総評としてはタムロン17-28は写りも良く、使い勝手の良いレンズのため、お気に入りのレンズです。
もし、コスパの高い超広角レンズをお探しであれば、タムロン17-28を検討してみてはいかがでしょうか。
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